「ありがとう」
「何が?」

照れる様に笑いながら、アキちゃんはこの後も一人で舞い上がる。
鱗をキラキラと反射させながら、目の前を泳いで行ったアジの大群には、特に興奮していた……。
トンネルを潜り抜けると、見えてきたのはクマノミがいる水槽と、大きなカニがいる水槽。
アキちゃんはガラスにへばり付いて、クマノミが可愛いと連呼。
そしてカニをみると、美味そうと呟いた。

…アジを見て美味しそうと言わなかったのに、カニは美味しそうっていうんだね…。

そして、LEDに照明されたクラゲ、ふれあい水槽でヒトデを触って、熱帯の海に広がるサンゴ礁を再現した世界で泳ぐ美しい魚たち。
アマゾンやナイルの大河からやってきたスケールの大きい魚。
世界の珍しい生態・形態をもつ魚たち。
“海のライオン”と呼ばれるカリフォルニアアシカ。
バウンドイルカの泳ぐ淡い水色の水槽では、隣で見ている子供と一緒にべったりとガラスにくっついていた。

…同じ格好してるし、写メっといてやる。

見るからに凶暴そうなサメは、ギロリとこっちを睨んでいる様だった。
思わずアキちゃんの服の袖を握ったけど、アキちゃんはサメに対しても、可愛いの連呼だった。
冷たいオホーツク海からやってきたゴマフアザラシのトンネル水槽に行くと、アキちゃんはガラスを叩きまくった。

お客さ~ん、アザラシが吃驚しちゃうから、そういった御行為はしないようにしましょうよーッ!!

そして、イルカとアザラシのショーには目もくれず、待ちに待ったペンギンのところへ。

「うっわぁー!!もぅ堪んないねぇ!!」

パシャパシャとカメラの音が鳴り響く。
…フラッシュが、痛い。