「ただいま~」

夜になって、アキちゃんは買い物袋をたくさんぶら下げて部屋に来た。
…ただいまって、ココは俺の部屋ですよー。

「何買って帰ってきたんだ?」
「果物。たくさん買ってきた。林檎と苺に、蜜柑にカットパインにスイカに葡萄にバナナにメロンにさくらんぼに桃缶2つ。ちなみに、白桃と黄桃」

……どんだけ、買い込んできてるんですか。

とは言わず、とりあえず「ありがとう」と返した。
買いすぎだっていう問題はあるけど、そういう行為に対して、嫌悪感はない。
むしろ嬉しかったから。

もしかしたらそれは、風邪のせいだったりするかも。

「お粥食べた?」
「うん」
「どうだった?」
「美味しかった」

アキちゃんはその返事を聞くと、本当に嬉しそうに微笑んで、果物を冷蔵庫の中にしまいにキッチンへ。
俺はベッドから起き上がり、クローゼットの中から寝間着を取り出した。

「動けるの?」
「うん、大分体が楽になってきたから」

というものの、現在の体温は38度5分。
体が楽に感じてきているのは、この体温に体が慣れてきたからだろうか…。

「着替え、手伝おうか?」
「あ~、じゃあ……お願いします」

体を動かすことが楽だと感じているものの、立ち上がればクワンクワンと世界は回る。
ぶるぶると頭を振るけど、それはなくならなくて。
何かにつかまったり、手を借りないと危ないと判断した俺は、手を借りることにした。

それに、相手は女の子だから問題ない。