俺はアキちゃんの手から鍵を奪おうと、アキちゃんの周りを飛び回った。
「ショウ、もうちょっと大きかったら届いてたかもしれないのにねぇー」
溜め息交じりに囁くその声。
…俺、初めて女の子を本気で殴りたいと思った…。
ジャンプしても、届かないその手。
もちろんアキちゃんは手を動かしたりなんてしていない。
ただ、その場で腕を上げているだけだ。
鍵を奪う事を止めて、ゼーハーゼーハーと肩で息をしていると、アキちゃんは俺の背中を撫でた。
「降参しなよ、勝てっこないってぇ~」
クスクスと笑いながら、アキちゃんは買い物袋を持ち直して、歩き始めた。
…この野郎、いつか覚えとけ。

