ある夜、 小学生だったお兄ちゃんは 厳しいお父さんと喧嘩をした。 お兄ちゃんは家を飛び出した。 あたしも一緒に 連れていかれた。 ピンクのサンダルを 慌てながら履いたことを 鮮明に覚えてる。 それからずっと お兄ちゃんの隣を歩いていた。 誰も歩く人がいないなか、 ビュンビュン通る車に 気をつけながら かすかに煌めく街灯を頼りに 真っすぐと歩いた。