「お母さん、話って何?」

「へぇ!?」

ミキサーで潰した鮮やかなオレンジ色の南瓜を磨り潰しながらそんな事を言うと、明らかに動揺した母は変な声を出して皿を一枚取り落とした。
幸いプラスチック製で割れはしなかったけれど、母の様子はおかしい。

「な、何でっ」

「お皿大丈夫?…………お母さんが晩御飯の手伝いで私の勉強妨げた事が小学生の頃から1度でもあった?別にお母さんの手伝いをするのが嫌な訳じゃないよ。何か話があるんでしょう?違う?」

一頻り話すと、母は視線を右に左に泳がせて黙り込んでしまう。
やっぱり母の反応は分かりやすい。嘘や隠し事が出来ない。警察の父は、母のそんな所に惹かれたとずっと昔に言っていた気がした。

暫く無言が続いて、母がごくんと唾を飲み込んで私を正面から見た。
少し不安そうな顔。寂しそうにも見えた。

「あのね、雪姫…」