広い体育館1階の小道場
真ん中には、俺と、反対側に立つ空手着の大祐
俺と同じ黒帯に…1本輝く、金線(きんせん)

大祐、最近生徒会で部活来れなかったし
久しぶりの組み手、すんげーわくわくする!!

「はじめッ」

審判の1年の…えーっと…宮川が声を上げた

「いくぜ陸っ」
「おう!!」

大祐が元気に叫んで、軽く畳(たたみ)を蹴った
おっ、相変わらずの跳躍力!!

「ハッ」
「ぅおっと…」

いきなり右の鋭(するど)い突き
大祐の突き、マトモに食らうと本気で痛えんだよなー…

「せァッ!!」
「っ!!」

次は俺が、右足を蹴りだした
大祐はそれを右腕をバッと振り上げてかわした

「ァアアァッ」

大祐が、たん。と畳に両手を付いた

「えっ…」

おいおいおい
それって…

「らァッ!!」
「げっ」

両手で体を持ち上げて、右足を突き出してきた

「だっ…」

俺は慌ててかわして、ザザッと踏みとどまった

「大祐っ。空手で少林寺すんなよなっ」

その身軽さ、ダメだろっ