「半分」
「え?別に大丈夫だよ」
「大丈夫な奴はそんなに足元はおぼつかない」
「…有り難うー」

花田が見ていられないから半分箱を奪う
すると先生は笑った

「柴崎君は偉いね」
「いや、別に」
「優しいね。女の子に人気な理由が分かるよ」
「え…………」

何を言い出すんだこの人は。
俺が立ち止まると花田が首を突っ込む

「ですよねー。私は全然タイプじゃないですけど」
「わあ、花田さん辛辣ー」
「私、文系男子好きなんです」
「あ、じゃあ僕も駄目だねー」
「そうですねー。先生、理科教師だし。しかも理系の中でも出来た方でしょう?」
「化学も物理も得意だよー」

花田は誰とでも上手くやれる
理系教科文系教科問わず出来るから、勿論教員とも
直ぐに打ち解けて深い関係に。万人に好かれる花田は羨ましい
俺も花田は好きだ。
勉強が出来る人間がえばりがちになるうちのクラスの中でも、奢らない。そこが好きだ

「残念だったねぇ、柴崎君」
「柴崎君柴崎君、残念がってー」

まるで友達の様に冗談を言い合っていた花田と先生が笑ってすっかり置いてきぼりの俺を振り返る
俺にも乗れって言いたいのか、それは

「はいはい。残念です、先生」
「諦めないで。女の子は花田さんだけじゃないから」
「そうですよね。俺には可愛い彼女も居ますし」

鼻で笑って、二人に追いついた

「うわー、柴崎君むかつくー。あはは」