「慧!!!!」

慧の後姿に叫ぶと、ゆっくり振り返った
そして真っ直ぐ見て来る

駆け寄って両腕を差し出す

「何」
「何も言わずにリーダーの教科書貸して…!!」
「…ああ、ん。」
「有り難うっ!」

差し出されたのは1年間使い古されたとは思えない真っ白な綺麗な教科書

「ていうか、今持ってるんだね。A組は家庭科だったっけ」
「午前中までは春樹に貸してたから」
「ああ…成る程」

廊下を歩いていると、ぴゅうっと冷たい風が吹き込んできた
毎年思うけど、この1年生の廊下、寒いんだよね




「慧先輩っ」

慧と2人で振り返ると、可愛い未月ちゃん基慧の彼女がパタパタ駆け寄ってきた