「ああそうだ、慧」
「はい」
「この前のあの話。ラスベガスの奴。この前アメリカ支部に寄ったついでに片付けてきたから、もう大丈夫だよ」
「…そうですか。一応、流れは考えてたんですけど」
「無駄になっちゃったけど、ゴメンね。周が慧の負担を減らしたいって頑張ってくれちゃって」
「いえ、本当に負担が減って良かったです。今度、周さんにお礼を言っておきます」

私には分からない話を、慧と朱雀さんが交わした
爽樹や陸も不思議そうな顔をしていた
慧は一足先に司令官として行動を再開したらしかった

「ああ、周なら丁度居るよ。奥で休んでるけど、呼んでこようか?」
「いや、御休みになってるなら…」

「私なら、此処に」

「わ、ビックリしたぁ!」

卓真が声を上げて振り返った
スキンヘッドに前進黒いスーツ姿の周さんが恭しく頭を下げた

「お久し振りです。先日イタリアから戻って参りました」
「有り難う御座いました。お疲れ様でした。大分楽になりそうです」
「お役に立てて光栄です」

慧と周さんが短く会話を終わらせると、朱雀さんが口を開いた

「でも、向こうでちょっと不思議な物を見つけたんだよね。周」
「はい。部屋に有りますので、御持ちします」

周さんはすぐに部屋を出て行った