本当に嬉しかった
国立じゃないとはいえ、ずっと目指していた大学に合格できたから。

皆祝福してくれたのも、本当に嬉しかった
もう私の進路は安心

でも、不安

「今回の仕事は、去年よりも大変かな」

そう微笑む朱雀さん
不安。そう、私は不安になってきた
私は多分、危険な立場に居る
春樹や爽樹も充分危険な立場だけれど、私は

私の父親は、警視総監。警察の上層部の人間
警察の父を持ちながら詐欺師として仕事を手伝うなどという親を裏切る様な事に対しての罪悪感は、何故か余り無かった
でも、私の父は、きっと娘でも悪事を働いているのを見つけたら、容赦なく、問答無用で私も春樹も誰もかも牢屋に入れる
抵抗すれば、陸が暴れだせば、容赦なく撃つ
そんな事くらいしてみせる覚悟は無いと、警視総監としてやっていけない

「…雪姫?どうかした?」

朱雀さんが顔を覗き込んでいた
はっとして、前を向いた

「いえ、何も」