「―さてと」

慧はプリントの束を1回整えると、ガタッと椅子を立ち上がった

「未月お疲れ。今日は終わりです」
「あ、はい!あの…今日は…」
「…ゴメン。今日は一緒に帰れないかも」
「そうですか…」

明らかに沈んだ表情の未月ちゃんを見て、羨ましいと思った
未月ちゃんも、あと、爽樹も

「ゴメン。遅くまで仕事してもらったのに」
「あ、いえ大丈夫ですっ!!」

未月ちゃんは部屋の隅(すみ)に置いてあったバッグを肩にかけて、礼をして部屋を出て行った

「さよなら春日先輩、藁間先輩、慧先輩!!」

バタン

「…姫、今さり気に未月ちゃん、慧だけ名前だったよな」
「うん。そして「姫」は止めろ」
「慧ー、俺知らねーよー。爽樹に怒られても」
「何で俺が高城に怒られんだよ」
「やー。だってこの前だって先に未月ちゃん帰らして怒られてたじゃん」
「……そうだったな」

「春樹は私から離れろ」

首にかけられた春樹の腕を、関節で曲げた

「ったぁぁあああッ!!!!マジ強くなってる雪姫!!」


藁間 雪姫-ワラマ ユキヒメ-
3年B組
天才詐欺師