黒い革の椅子に、深く座った
ぎしっと軋(きし)む音がして、俺の体を受け止めた

「はー……」

天井を仰(あお)いで息を吐いた
季節は12月

「もう――

 1年かぁ」

そうか。
もう、そんなに経つんだね

あの死闘から、もう1年が過ぎた


裏社会を震え上がらせた天才マフィアは
もう、高校3年生



「さて…と」

かちゃ。と黒い電話の受話器を手に取った

久しぶりに仕事をお願いしよう



「――あ、もしもし慧?」


腕は落ちていないかな?