「そう
優、好きなもの食べれて良かったね」

空は優の頭を撫でた。
優はその手を振り払った。
「優?」
「ちょっとトイレ」


俺は空に声をかけた。
「おい・・・空」
「何?」
「今日何の日が知らないのか?」
「何もないよ?」

「今日優の誕生日だぞ!?」

部屋が静まり返った。

でもそれは一瞬だった。
綾乃は優に近づいて
叫んだんだ。
沙羅のときのように。

「空は優の親友でしょ!?
どうして誕生日忘れてたの!?」

俺は勘がいいから大体分かる。
今の言葉は言ってはいけない。

空を傷つける、と。

綾乃は優を追って走っていった。
空はその反対へと行ってしまった。

綾乃は、過去の綾乃を
追いかける優のように走った。
今の出来事は、
沙羅のときときれいにかぶったんだ。

でも、あのときと大きな違い。
それは、
あのときよりも、
もっともっと俺らの関係が
壊れる気がした。

もし壊れたら、
俺らはついこの前のように
当たり前に笑いあうことが
できるのだろうか。