ー10年前ー

俺が小学生になったとき。
普通の子供ならぴっかぴかの
ランドセル。
心も弾みながら学校へ向かう。
夜になれば家族みんなで晩ご飯。

だけど俺は違った。

ランドセルは買ってもらった。
だけど、学校には行かなかった。
行きたくなかったから公園で遊んでた。

でも家になんか帰りたくなかった。

家に帰っても、
「何?帰ってきたの?」

“おかえり”の言葉はなかった。


だから休みの日は朝から夕方まで
ずっと遅くまで外にいた。

前は今の住んでる場所から
車で2時間かかる場所。
もちろん優や輝、遥や優雅はいない。

近くの公園で遊ぶだけだった。

ある日出会ったんだ。
1人の少女と。

俺が1人で砂場で遊んで
いるときだった。

「ねぇ?一緒に遊んでもいい?」
そう俺に声をかけたのは、
髪を2つに縛った可愛い女の子だった。

「・・・いいよ」
そして俺は女の子と2人で遊んだ。
長い長い間。

そして夕方、少女が帰る時だった。
「また遊ぼうね!」
“また”
この言葉が嬉しくてたまらなかった。

「・・・うん!」
「あっこれあげる!」