「うっわ。振られちゃったよ~」
「そういわずにさぁ?
ほら、行こうよ~」

「ぃや・・・離して下さいっ!」

「おい」

俺はすぐかまわず声をかけた。
「お前ら俺の連れに何か用?」
「ちょうどこの子にデート
さそうとこなんだよ~。
知り合いかしんねぇけど
邪魔しないでもらえる?」

この一言で俺は

ガシャンっ

きれた。

近くにあるゴミ箱を
相手に向かって蹴飛ばした。

「行くぞっ!」
俺は彩香を引っ張って
走り出した。

たくさん。

「もういいだろ」
「・・・ハァッ」

彩香の肩があがる。
俺はその肩を掴んだ。

「おいっ大丈夫か!?」
「・・・ッ」

下を向いている顔を
覗き込むと、

「-っ」
彩香の頬には涙が。

「かった・・・」
「え?」
「こわ・・・かったっ・・・!」

そう言って崩れ落ちた。
俺は震える肩をそっと抱き寄せた。

このとき彩香も俺の肩に
しがみついた。

男が苦手なこいつがした行為に
またしてもドキッとした。