でもあの女なら・・・
何を言っても、
怒らない気がした。


ひどいことを言っても、
俺を攻めたりしないって思った。

根拠はない。

ふとそう思っただけだ。

「綾はどんなお前でも、
攻めたりしないさ」



少しだけ・・・
少しだけあいつに悪いことをした、
そう思った。



「行って来いっ」

そう言って空は俺の背中を押した。



「優、また綾乃泣かしたら
今度はお湯かけっぞ?」



含み笑いをしながら優雅は言った。
これでも俺を応援してるんだろう。

「今日の夕飯はシチューにしよっか」



輝は俺の好物を作る。
ガキっぽいけどシチューが好きな俺

「えっとえっと・・・
優ちゃん頑張ってっ!!」



遥も両手でガッツポーズしながら言った。

始めてこの寮に入ったとき、
正直このメンバーでやっていけるのか、
そう思った。

普段はよく分からないときもあるし、
時にはお人よしだし。


でもいつも心の中でもこう思った。
素直にいえなかったけど、
今なら言えるさ。


「・・・ありがとう」

俺は走り始めた。