「これが優の過去。
あれがあってから優は女嫌いになった。
女嫌いというより、
女を信じなくなったんだ」

綾は今にも泣きそうな顔をしている。

「じゃあどうして!?
どうして優は沙羅さんを抱きしめたの!?」

普通そんなことされたら
口も聞きたくないはず。

そう綾が思うのも無理ない。

でも・・・
「きっと今も、優は
沙羅が好きなのかも知れない」

「そんなっ」

俺だってそう思うよ。
早くあいつを忘れればいい。
そうすれば優は
辛い思いをしなくていいだろう?

お前は俺の弟のような存在だから。

だから余計心配なんだよ。

「あたし・・・行く」

「綾っ!?」

綾はまた行ってしまった。
きっと沙羅に何か言うのだろう。

でもそれはやめたほうがいい。

俺は綾を止めにまた走った。