あ~眠い・・・

ベッドに寝転びながら
小説を読む、俺。

コンコン
軽快なテンポで扉を叩くのは、
「優?入っていい?」
空しかいない。
まぁあの女もか。
「うん、どうぞ」

空とはこの寮の中では
1番仲がいい。

俺のよき理解者だ。

「珍しいね、空から来るなんて」
普段は俺が空の部屋に行く。
理由はなんとなくだけど。

「ん~ちょっと気になったことがあって」
「何?」

「優、昔のこと思い出したんじゃないかと思って」
俺の本のページをめくる手が止まった。

「なんで?」

「綾って雰囲気似てるから。沙羅に」
パタンッ
俺は本を閉じた。
「確かに、俺も思ったよ」

長いストレートの髪。
でかい目。
華奢な体。
全てがあいつにかぶる。

俺だって昔は、女嫌いじゃなかった。
“あれ”があるまでは。