もちろん女は床に倒れる。

「いったぁ・・・」
「・・・悪い」
「ううん、大丈夫っ!」

そう言った彼女の笑顔は、
どこか切なげだった。

「優?夕飯だからキッチンねっ!」
「あぁ・・・うん」

そう言って走っていってしまった。

女に触れられると、
蕁麻疹が出る体質になってしまった俺。

しかし、手を見ても首を見ても、
それらしきものはない。

「治った・・・のか?」
いや、ありえない。

一瞬だったから俺の体も我慢したのか。
うん、そうだ。

普段はコンタクトだが、
めんどくさいので眼鏡をかけてキッチンへ行った。