綾は多分優といいことでも
あったんだろう。

遥と輝は
よく分かんないけど。

「はぁ~」
俺はいいことなんてない。
まぁみんなに心配かけたくないし
みんなのテンションに合わせてる。

つもりだけど。


俺はビー玉を取り出した。
ビー玉に映るのは、
あの頃のように笑顔の俺。

とは逆のような俺だった。

もう子供の頃のような
笑顔で笑ったことはない。


「どうしたらいいんだよ」
諦めるって決めたのに、

決めたのに、さ・・・
どうして頭の中に浮かぶのは、

綾の顔ばかり。

「・・・好きだよ、綾」

諦めようとしても
抑えられない気持ちが、
口から漏れた。

バンッ

それと同時に俺の手の中の
ビー玉が壁へと投げつけられる。

壁にはうっすらくぼみが。
ビー玉は転がっていった。

目に留まっても、
拾わない、と変な決心をした。