「桜井が何があったかは知らないし、あえて聞こうとも思わない。」
桐谷先生は、真っ直ぐ前を見て話す。
「でもな?桜井…こんなでかい世界で生きてる俺達ってさ、案外ちっぽけなもんだよ?自分の持ってる悩みも……でも、ちっぽけだからこそ、俺達は必死なんだ…一生懸命なんだよ。幸せってさ、悩みや苦労があって初めて幸せって感じられるんだ。桜井も、今は色々あるかもしれない…でもな?その時、その時を…一瞬、一瞬を精一杯生きてほしい。…と思う」
「………」
……言葉にならなかった。
涙が止まらなかった。
先生の顔が凄く真剣で、…胸が苦しくなった。
先生の言葉が…
一言一言が…
私の胸に刺さって…
言葉が出なかった。
