ラブレター

私はラブレターを出したことは誰にも言わなかった。照れ臭かったし、ラブレターなんて出して何がしたいのかと尋ねられてもうまく説明できなかったからだ。


ひそかに恋心を抱いていた私だったけれど、加藤君に会えなくなった今、どうしても自分の気持ちを伝えたかっただけなのだ。

付き合いたいとかそうゆう気持ちはなくて、ただ目が合ったら私だと気付いて微笑んでほしかった。
友達でもちょっとした知り合いでもなんでもいい、私を加藤君の目に少しでも映してほしかった。

スキー選手としては到底加藤君と並ぶはずもない私は、少しでも彼とのつながりがほしかった。

私から行動を起こさなければずっと加藤君と私は平行線のままだ。


その手段がラブレターだった。