ラブレター

目が合うようになってからは、ただ見ているだけだった頃と違う気持ちが私の胸を支配していった。

スキー技術だけでは知られることもない私のような無名な選手が、加藤君のような有名な人に存在を見つけてもらったような気持ちになって、浮かれていた。


もちろん加藤君は私なんかに好意はないのだろうけど、それでも彼の目に映ることが嬉しかった。

彼と目が合う度、私の心臓はドキドキと音を立てた。

このまま目が合えば彼が私を意識して、もしかしたら好きになってくれるんじゃないか…なんて浅はかな期待をしたものだ。



《加藤君をもっと知りたいなぁ…》
彼の好きなもの、嫌いなもの、普段の過ごし方、全て知りたくなるのが恋心だ。