ラブレター

そうして私には‘加藤君を見る’という目的ができ、スキー大会は以前とは打って変わって楽しみになっていった。



女子も小学校高学年ともなれば、もう好きな男の子の話題でキャアキャアと騒ぐようになり、中には告白したり、付き合ったりする子たちも出てくる。

私たちも例外でなく、チームの数少ない女子の中では加藤君の話題や別のカッコイイ選手の話題でもちきりだった。

私は仲の良い二人の友達には加藤君が好きだということを打ち明けていたが、恥ずかしくて他の子のようにおおっぴらにはしゃげないでいた。

何となくだけど、他の女の子たちとは違う、一緒にされたくないと思っている自分もいたからだ。



よって私はひそかに恋心を募らせ、加藤君はこんな人だ…などと妄想をふくらませていた。