関口は、左に寄せてある資料をボンッと座っている横におろした。

最近買いましたというようなギンピカのカバンをカチリと丁寧に開き、資料を詰め込み始めた。

オレはマルボロライトの箱をくしゃくしゃにして、関口のうすい水色のマイルドセブンのなんとかマイルドみたいなものを一本ぬいて「このウルトラマイルドスーパーライトとかいうやつを1本もらいますよ」と自分なりのおもしろセンスをシェラスコの肉をこそげ落とす要領で煙草一本分に見合う程度こそげ落とし、煙草一本をもらうための“何か”を差し出し平和的に合意の上で交渉成立したつもりになり1本スッと抜き取り遠慮ぎみに握ったたばこを指揮者のはじめますよの合図よろしく空中にチョイと掲げた。