気づけば、あなたが

「ねえ 陽介・・・なんか元気ないよ」



急に腕を掴まれた俺は、やっと目の前の佳奈を見た。



「あっ・・・わりい、何か言った?」




「もう、聞いてなかったの?
明日か明後日、遊園地に行かない?」



「いや、今週の土曜日に引っ越すって言っただろう
俺も荷物まとめたり忙しいから」



「だったら荷物かたす手伝いに行ってもいい?」



佳奈は強引だった。



「遠慮しとく、うちの親も俺に用事頼んだりするから、お前の事、かまってる暇ないし」



「なあんだ、残念!」



佳奈はいつの間にか運ばれていたケーキを口に入れた。



俺は曖昧な返事をしなくて良かったと思った。