気づけば、あなたが

昼食の時間になるとそれぞれ同じ中学校の生徒が固まっていた。



佳奈はお弁当を持って杏の所に寄って来た。



「お腹、空いちゃったね」


佳奈は前の椅子をこちらに向けて座った。



杏もカバンからお弁当を取り出すと机の上に置いた。



「トイレに行かない?」


「そうだね」


二人は立ち上がって教室を出た。



「杏!!」


背後で声が。



後ろを振り返ると



女子生徒に囲まれている陽介の姿があった。



「相変わらずモテる男だねぇ」


佳奈はそう言ってトイレに入ってしまった。



杏も彼の事を気にしながらも、トイレに入った。



何だかまだ廊下は騒がしい。



何しにきてんのよ!!


杏は怒りが込み上げてきた。



トイレから出ると、陽介が女子生徒をかき分けてこちらにやって来た。



「何だよ、助けてくれたっていいだろう」


「意味わかんない!」


「モテる男はツラいね」


佳奈は笑った。



「まだ午後も試験が残ってるのよ、あんまりバカ騒ぎしないでよ!!」



「別に俺が騒いだ訳じゃないし・・・」



「そんな事よりお弁当食べよ」