陽介が引っ越す事を聞いた。

それは美波が本田から伝えられた事だった。




杏は美波と近くの喫茶店で待ち合わせをした。



美波は相変わらず、大人っぽい服装でやって来た



女子大生でも、十分通るくらいだ。



「どう? 調子は?」


美波は椅子に座ると早速そんな事を聞いた。


「どうもないよ、卒業式も終わって なんかぽっかり穴が空いたような…そんな感じ」



「アイスコーヒー、2つ」


美波はオーダーを取りに来た店員に告げた。


店員は頭を下げ、さがって行った。




「美波こそ、
どうなの? 本田とラブラブじゃないの」



「本田とは友達のままだよ、あいつもそれでいいって」


美波はあくまでもポーカーフェイスだ。


「あんた達って わけわかんないね」


「フフン・・・そうでしょう
杏に解らなくたっていいの!」



「そう言って まんざらでもないって顔してる!」



「それより、陽介の事はどうするの?」



「さあ・・・」


それから杏は一口 水を飲んだ。



そのうち 店員がアイスコーヒーを運んで来た。



ストローを取り出すと、美波は水滴のついたグラスの中に入れた。



カラカラーンと氷がグラスにぶつかり合う音がした。