気づけば、あなたが

鉛筆の音だけが響いている。



杏は用心して鉛筆も余分に用意していたが、そのわりには大事な受験票を忘れるとは・・・。



やっぱり私ってドジ


絶対に鉛筆を持つ手を止めない。



とにかく最後の問題まで目を通す。


杏はずっとその事を頭に入れて、受験勉強もしてきた。




どうしてもこの高校に入りたい!



その決意、杏は更に気を引き締めて試験に臨む。




チャイムが鳴る。


一時限目が終了した。



ただ、ホッとする間もなく、次の数学の試験が始まる。



陽介は大丈夫かな・・・?




ふとそう思った。



陽介がここを選んだ理由・・・何だろう?



余計な事は考えないようにしなくちゃ。





チャイムが鳴ると試験官が入って来て、問題用紙と答案用紙を伏せて机の上に置く。



次の為の新しい鉛筆も二本出した。



そして、二回目のチャイムが鳴った。



一斉に問題用紙、解答用紙を表にする。



そしてまた、鉛筆の音だけが響いてくる。


こうして午前中の三教科が終わり、昼の時間になった。