気づけば、あなたが

卒業式も粛々と進行していった。




卒業証書を手に、壇上から次々と生徒達が、ゆっくりと静かに降りてくる。




陽介は、席に着く前にチラッと杏の方を見た。



杏は気づいていない。




陽介は心の中で、溜め息をつく。



・・・杏、ゴメン・・・



陽介は席に着くと、杏を目で追っていた。



・・・俺
何やってんだ・・・




どうしようもない罪悪感に襲われる。



杏の心を傷つけた。



杏のあんな悲しそうな顔・・・



俺って・・・なんて馬鹿なんだ!



杏の事が気になり始めて 告白しようと思っていたのに・・・



陽介は、自分の優柔不断な心に嫌気がさした。