気づけば、あなたが

彼女もまた、卒業生代表答辞の挨拶が控えていた。



まだ、彼女も答辞の内容を一部変えるかどうか迷っていた。



でも、それが杏に対しての思いやりなのか・・・


それとも、自分が陽介を諦めたのに、佳奈が横撮りしたことへの腹いせ?



美波はふと、本田の姿を見つめた。




本田が言っていた
言葉が、美波の心に深く残っている。




本田は私のことを信じている。



美波は胸が、キュンと痛かった。



本田は自分のことを心配してくれている。



友達同士で構わないからと・・・



美波の心の整理がつくまで、待ってくれている。



美波は佳奈に対する憎しみよりも、本田に対しての感謝の想いを伝えなければいけないと思った。




本田恭介に

いつも見ていてくれたことへの、ありがとうの意味を込めて

美波はやはり、最後に言葉を添えることにした。