勿論、美波の中にも葛藤があった。



杏の気持ちに気付いた時



親友の杏の存在。



そして・・・



本田の存在・・・



自分の心の中で、色々なものがひしめき合っていった。




杏の悲しい顔は見たくないから。



部活に汗してキラキラしている杏が、美波は大好きなのだ。




陽介とだって友人として仲良くやっていた。



恋愛に発展する感じではない事くらい、美波には始めから理解出来ている。



ただ・・・


自分自身でそれを認めたくなかっただけ



「本田・・・サンキュー、心配してくれて」



「ああ・・・」



「それとあんたの気持ち・・・まだ保留にしてていい?」


「う・・・ん、いいよ俺の事は・・・」



急に照れくさそうな素振りを見せる。



「杏が心配だから、教室に行くね」



美波はそう言って立ち去った。



「無理しちゃって」



本田もそのあとを追った。