気づけば、あなたが

「美波は誰の為に怒ってたんだ?」



そう聞かれて美波はすぐに返答が出来なかった。



杏の事?


自分の事?


違う!


嫉妬・・・


美波は佳奈に対して嫉妬していた。



以前から佳奈の事をよく思っていないから。



「美波が陽介を好きなのは、何となくわかってた」


本田はポツリと話し始めた。


「なあんだ、気づいてたんだ」



「でもさ、美波が陽介の事を好きなのは恋愛とは違うよ」


「なあに、急にオトナぶっちゃって」


「茶化すなよ、俺はフツーの中学生より考え方がオトナなんだよ」



確かにいつになく、本田の雰囲気が違う。


「それで、どうしたって?」



「つまり、陽介にとって美波は親友以外のなにものでもないんだよ」

その時!

また、美波の目から涙が溢れてきた。



「ひどいよ、本田・・・」


「ひどい事言ってるのは、わかってる。
美波が紅南校やめた理由も・・・」



もう何もかも、本田はお見通しなのだと美波は思った。


杏の為に、身を引いた・・・?