気づけば、あなたが

最後に先生がクラスのプレートを後ろに立てかけた。



一斉に声があがる。


みんなの拍手。


杏は他の人に悟られないようにそっと涙を拭った



その後、みんなで記念撮影が始まった。



それぞれ自由に撮影が行われた。


陽介は相変わらずクラスの人気者で、彼の周りには人が集まる。



中学生活最後の思い出。



そのうち他のクラスの生徒も校庭に出てきた。



「陽介!」


佳奈の声・・・



その声に反応した陽介が手を挙げた。



どうして?


距離だってあるのに

佳奈なら笑顔で応えるの?



杏の思いは複雑だった。



次第に近づいて来る佳奈



「図々しいなあ」


美波は呆れている。



「教室に戻るから」


杏はひとり昇降口の方へ歩いて行く。



美波が後を追いかけようとすると、他の女子から呼ばれた。



仕方なくその輪の中に入って行った。



杏はどこかで期待してた。


陽介が走って来てくれる・・・




でもその期待は見事に打ち砕かれた。