気づけば、あなたが

それって有り得る。


二人は思った。



「いい加減にしろ!って感じ」



美波は憤慨していた。


「帰ろう」


杏は一言小さくつぶやき階段の方へ向かった。



美波も後を追う。



「いいの?・・・それで」


「えっ、何で?」


「私が質問してるんだから答えなさい!」


「だって別に、どうでもいいし」


「それ本心?」


「美波だってホントはどうなの!」



「どうって?」


「志望校一緒だったのに、何で変えたのよ」



「不純な動機で高校を決めるのが嫌になったから」


不純な動機・・・?



「そこまで言えば、杏だってわかるでしょ」


美波の表情


気持ちの整理はもうとっくについていた。



だから佳奈の事が許せないの?



杏は自分の志望の動機もいい加減な事に恥ずかしく思った。



「そんな事言ったら私だって憧れの先輩がいるってだけの理由だよ」


「杏は先輩が卒業してから一年半頑張ってたじゃない」



「美波だって陽介と一緒にいたかったんじゃないの?」


美波は急に立ち止まった。


杏は横顔を見つめる。


美波・・・フッと笑った。


・・・美波・・・・



「そんな事より今から合格祝いしようよ、杏のママさん待ってるんでしょ」


杏は頷いた。