みんなが帰って急に静かになった部屋。


「お母さん、これで全部かな」


ティーカップをキッチンカウンターに置いた。



「ありがとう・・・ん?
どうかしたの?」


母親は杏の様子が気になった。


「何で?」


「ちょっと気になったの、でも何でもないのならいいわ」


それから杏は部屋に戻った。



少しだけため息。


いつもの元気が出ない。



美波がいて

佳奈がいて


本田がいて


そして・・・


陽介がいた



変な組み合わせ


別に組み合わさってなかったのか・・・



佳奈・・・陽介にぴったりくっついていた。



やっぱり佳奈、陽介が好きなんだ。



今までは只のクラスメート。



大好きな先輩が卒業して気が抜けちゃって、でもやっぱり先輩と同じ高校へ行きたいと思った。



そう決心して受験勉強、頑張ってきたんだった。



けど・・・なんか変なんだよね。



先輩の存在


陽介の存在



どっちが私にとって本当に好きな人なんだろう?



それは比べちゃいけない事なの?