「もう大丈夫なのか?」


陽介は杏を見つめた。


「おかげさまで、この通り元気になりました」


そこには、いつもの杏がいる。



「あさっては合格発表の日だから、治って良かったね」


佳奈はその事を強調するかのように言った。



「そうね、みんなもうすぐ高校生よね」


杏の母親はみんなの顔を見ながら言った。


それから、たわいない話で時間が過ぎていった。


美波は時計を見ながら
「さて、そろそろ帰りましょうか。おばさん、ご馳走さまでした」


陽介は他の三人がリビングから出た後、杏の隣に寄った。


杏は小さな声で伝える。

「昨日はありがとう!」

ちょっとだけ照れながら。



「ああ・・・」


そして陽介は素っ気ない返事をした。




「おじゃましました!」


元気のいい挨拶で陽介達は帰って行った。


みんなを見送った後戻って来た杏。


「良かったわね、みんな来てくれて」


「うん・・・でもパジャマはなかったよね」

杏は笑った。


本当は、ドキドキしてた。


本当は・・・?