気づけば、あなたが

美波と佳奈。


目線の先で火花が飛び散っているような場面だ。



陽介はこの場を退散したいが、二人に挟まれて逃げる事が出来ない。



まるで絶体絶命のピンチに立たされている主人公のようだった。



でも何で俺が?


陽介はそんなふうに思いながらも、二人の気迫に負けていた。


「おーい、風見!」


同じ部活の本田が呼んでいる。



・・・何ていいタイミングなんだ、本田が救世主に見えるぜ・・・。



すぐさま陽介は「悪いな?」と言って、本田の元へ行ってしまった。



「逃げたなって思ってるでしょ」


美波は言った。


「なあんだ、せっかく誘ったのに、つまんない」


佳奈は意味あり気な言葉を残して出て行った。



「杏をダシに使うなっつうの!」


美波はムカッとした。



杏、美波、佳奈。


この三人は小学校からの付き合いだが、美波は佳奈と昔から気が合わなかった。


結局、クラスも杏と美波はずっと一緒だった為どうしても佳奈の存在を受け入れたくなかった。