気づけば、あなたが

えっ・・・?


今の・・・私に・・・?



杏は何の表情も返せないまま、彼は行ってしまった・・・。



「杏、どうした?」


制止したままの杏に留奈は、顔の前で手を振った。



「あっ・・・ごめん・・・

彼 変わってないのかも・・・」


「何が?」



「ううん、何でもないよ」


杏は笑顔を見せた。



「もう、ずるい!
一人で納得するなんて・・・」


留奈は、そう言って杏にじゃれついた。



「もう留奈ったら、猫じゃないんだから」



杏は久しぶりに
さっきの出来事だけでいつもの笑顔を、少し取り戻せたような気がした。



陽介・・・



また一つ、気持ちが動揺し始めている。