気づけば、あなたが

でも、やっぱり舞の視線が気になる。



他の一年生を見る目とは違う。


私だけを敵視しているような感じだ・・・


杏は面倒な事に、巻き込まれたくないと思っていた。



・・・もしかして


・・・田崎先輩・・・




また、トライアングルの一人になってしまった事に、杏はため息をもらした。




それと同時に、ふと陽介の事を思った。



それは杏にとって、自然な思いだった。




陽介・・・・・・


杏は、さっきすれ違った陽介の姿を思い出しながら、周りを見渡した。




しかし、陽介の姿は、どこにも見当たらなかった。



ぼんやりしている杏の肩を、龍也は軽くたたいて声をかけた。



「一年生は、集合だよ」


優しく語りかけるような口調。


龍也の眼差しは、杏だけに注がれていた。