気づけば、あなたが

その時、
急に杏の横を通り抜けていく人影が…



あっ・・・!


陽介・・・・・・



私に気付かなかったのかな?



杏が無意識の内に、目で追ってる人物を龍也も追っていた。



「あれ?
確か彼は同じ出身中学だったね」



龍也の声に、杏はハッとする。


杏は龍也に申し訳なさそうに、コクリと頷いた。



しかし、龍也は特に気にも止めていなかった。



少しホッとして、龍也の方を見た瞬間、

副部長の舞が、こちらを凝視していた。



何か、睨まれてる・・・


「神崎先輩、田崎先輩は短距離が得意種目でしたよね」


「そうだよ、彼女は大学からスカウトの話もきてる」



「じゃあ、私は田崎先輩についてトレーニングした方がいいですね」


「えっ・・・ああ・・・それでいいの?」



杏は首をかしげた。


先輩、何か変な言い方・・・。



「しばらくは僕が指導するよ」


「そう・・・先輩が」


杏は少し、はにかんだ。