気づけば、あなたが

何だか、やっぱり楽しくない・・・



私は走るのが好きで
吹き抜ける風を感じるのが、心地よくて走っているのに。



私の考えは、おかしいのだろうか?



グランドに出た杏はとても憂うつな気分になっていた。



「どうかした?」


龍也が話しかけてきた。


杏はハッとして、龍也の方を見た。



「あっ、いえ・・・何でもありません」



昨日の龍也からの告白・・・。



杏の告白。


あの時だけ、不思議な空間だった。



今、 こうして隣に龍也がいる。



「タイム、良かったよ
さすがだね、杏ちゃん」


小声で告げる龍也の優しい声。



杏は龍也に笑顔を返した