「どうかしたか?」



「ううん・・・何でもない」



以前なら、二人の間にこんなぎこちない会話はなかった。



あの日を境に・・・



それでも、どこかで自分に声をかけて欲しいと願っていた。




意地を張っていたのはホントは寂しかったから・・・。



杏はそう思った。



ただ それ以上の会話が続かない。



なんで・・・?



自分に苛立つ。



「風見!」


陽介を呼ぶ声・・・



そこで、二人の会話は完全に遮られた。



「か・・・じゃあな」



陽介・・・



行ってしまった。



何か言おうとしていた・・・



杏は陽介の後ろ姿を見送った。



・・・陽介・・・