気づけば、あなたが

教室に戻る途中、杏は陽介とバッタリ出会った。



1メートルの距離。


お互いにその場で、立ち止まってしまった。



声を掛けてきたのは陽介の方だった。



何となく照れながらそれでいてバツが悪そうな感じだった。



「久しぶりだな・・・」


「うん・・・そうだね」


杏は表情を変えなかった


「部活は、やっぱり陸上部だよな」



「まあね・・・」


あまり言葉が出なかった。


「そう言えば、クラス委員になっただろう・・・俺も」



その時!!!


杏の心の鍵の音がした。


ドキッとして、一瞬うつむく。



陽介は、そんな杏を見て不思議そうな顔をした。