気づけば、あなたが

お昼の時間は、まだ同じ出身中学校の生徒同士が一緒にお弁当を食べていた。



留奈は初めから積極的に声をかけて、友人を作っていた。



杏は長年一緒だった美波と別れ、高校では特に親友を作る気はなかった。



美波以上の親友は、もういないと思っていたからだった。


高校生活は、部活に打ち込めばいいと考えていた。


元々、憧れの先輩を
追って受験した不純な動機・・・・・・


個人競技が自分には一番向いていると思っているからだ。



「杏は当然、陸上部でしょ!」



「まあね」

杏は少しはにかんで笑った。


「陸上部のエースで
生徒会長の神崎先輩カッコいいよね」


留奈も中学の時から神崎先輩の事はよく知っていた。


それだけ注目の的になっている先輩と一緒に陸上が出来る事は、杏にとって幸せだった。