すぐには事態を飲み込めなかった。


頭は真っ白になり、景色は現実感を失った。


僕は放心したまま親の車に乗せられて、病院へ向かった。


そこには晋也兄ぃがいた。


白い布をあげると晋也は首があらぬ方向に曲がっていた


な…なんだ…これは…


僕はその状態の兄が頭に焼き付いてしまった。


なんだ、なんだ、なんだ、なんだ!!!



これが晋也兄ぃ?



まさか!?



嘘だ!



僕はよろめいて、父親に支えられた。


皆、無言だった…



あまりにもリアルではないその状況を、僕の心は必死で拒絶していた。



「晋也…晋也…しんやぁ…」


母が急にこの現実に気がついたように、叫び出した。


兄にしがみついてわぁわぁ泣いてる。



僕も涙が一筋、流れた。



僕は兄とは仲がよかった。


趣味は音楽とバイクで、僕はその影響をかなり受けていた。


「あ、に、き…」



彼はそれ以来ピクリとも動く事なく、深い沈黙の中へとさっていった。