『ピ――――――』


卓也の22年という短い生涯の終わりを告げる音が冷たい部屋の中、鳴り響いた


『嫌〜!!!!!たぁくやぁ〜!!!!起きて!今日はディナーに行くんでしょ…ねぇ返事してよ!おめかししとけって言ったじゃない!!』


あたしはまだ温かい卓也の体に抱きつきこんなに涙が体内にあったのかと思う程泣いた…



『麗奈ちゃん…すまん…ワシが上れば良かったんじゃ…ワシのせいだ』



お父さんはずっとあたしに謝っていた



次々に卓也の友達や親戚が来て卓也の変わり果てた姿に涙した



最期の力を振り絞って出した言葉が

「れ…な…」

だった…

確かにそう卓也は言った



そして卓也の目には沢山の涙が溢れていた



きっと謝っていたんだね



約束守れなくてごめんね

って…


卓也の悔し涙だったんだ




出会って、ちょうど2年7ヶ月目の記念日に


卓也は逝ってしまった



やっと前の家族に戻って
お父さんみたいな大工になるって夢見つけたのに…



木の匂いのするニッカポッカが大好きだった


木のくずだらけの頭にタオルまいて

『麗奈♪ただいま』

って帰ってくる卓也はもういない…


これがただの悪い夢だったら…



現実だなんて…


思いたくなかった…