いつ頃からだろう?


朝、鏡の前のセットの時間が、昔よりも念入りになったのは。


営業終わりの面倒な仕事を、率先して引き受けるようになったのは。


そう、きっと出逢った瞬間から何かが変わったんだ。





定時を過ぎて、すっかり人気のなくなったフロア。


他の連中は営業帰りに家に直帰、でも俺は契約が取れた書類を入力する為に会社に戻る。


そんな中で、最後に仕事を押しつけられたであろう彼女が、パソコンに向かってせっせと働いているのを見つけた。


一人、二人と人がいなくなり、いつしか俺と彼女だけになった空間。


「いつもお疲れ様です」


そんな会話がいつしか


「また誘って下さいね」


そんな風に変わって。


お互いに好意を持ってる事くらい、ちょっと鈍感な俺でも分かってた。