「お前なぁ、社会人やろ。
仕事して給料貰ってんやろ。
なら、仕事の資料くらいちゃんと目通しとけや」
頑張ってんやから、ちゃんとしろや。
辞めたい、辞めたいって言うて。
それでも頑張って続けて来た仕事やねんから。
「……ごめんなさい」
しゅんとした梢に溜息が零れた。
そんな大事な事に今気付いたんかよ、ってのと。
この後の事を考えた分の、溜息。
「お前この旅行中、絶対話しかけんなよ」
そう言うと、梢は
「え?」
と驚いた顔をする。
「だから、話しかけんなよ。ええな?」
「……話しかけるな?」
「あぁ」
「……誰に?」
「俺に」
首を傾げキョトンとした梢は、たっぷりと間をおいた後。
「……えええ!?」
と素っ頓狂な声を出して叫んだ。


