黙ったままのあたしを不審に思ったのか、
肩に乗せていた頭を退かし顔を覗き込んでくる。
それに気付いたあたしは顔を窓側へと逸らしてしまった。
「怒ってん?」
そう聞かれて、勢いよく顔を振る。
「梢? 何で泣いてんの?」
顎を捕まれたあたしは無理矢理、
璃久の方へと顔を向けさせられた。
ボロボロと頬に落ちていく涙を見つめていた璃久が、吐いた小さな溜息。
「言いたい事あるなら言え。そんなんが1番困る」
そして冷たく言い放った言葉に、
胸の奥がギュッて詰まった気がした。
「……ごめ、んなさい」
いつも前向きなわけじゃない。
いつも笑ってるわけじゃない。
いつも煩いわけじゃない。
いつも元気なわけじゃない。
いつもめげないわけじゃない。
いつもみたいに出来ない時だって……あるんだもん。